一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-29
会議情報

石油ベンジン固体微粒子分散液中における毛白布の再汚染性
処理温度および固体微粒子汚れと生地の種類からの検討
*福田 典子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】非水系洗濯は油性汚れの効果的な除去を特徴とする。しかも親水性繊維の膨潤を防ぎ,型崩れのリスクを下げて処理する方法である。洗浄面では溶剤中の土砂や埃などの固体微粒子汚れによる再汚染,管理面では溶剤の人体や環境への影響が課題であり,その対応技術について検討が必要である。これまでに,綿の非水系の洗浄挙動について幾つか報告されているが,毛の再汚染について明らかされたものは十分とはいえない。そこで本研究では石油ベンジン中の固体微粒子汚れによる毛の再汚染性に及ぼす処理温度および固体微粒子汚れと生地の種類の影響について検討することを目的とした。 【方法】石油ベンジン(1級)中における固体微粒子汚れ4種(酸化鉄3種,カーボンブラック1種)の毛白生地5種(毛モスリン,毛サージ,毛綾薄手,毛フェルト,毛30アクリル70混紡)への再汚染性を,処理温度20~50℃の条件で検討した。汚染処理は,インキュベータBT-47(ヤマト科学製)内の所定の温度で,処理時間5分,振とう速度120rpmの条件で行なった。汚染前後の布の表面反射率を色差計ND-1001DP(日本電色工業製)を用いて表裏4箇所を測定し,汚染率を算出した。 【結果】石油ベンジンの固体微粒子分散液中での毛の汚染性について比較したところ,毛モスリンに対する汚染率は,いずれの固体微粒子汚れにおいても,処理温度の高いものほど大となる傾向が認められた。また,毛モスリンに対する汚染率は,いずれの処理温度においても,酸化鉄(_III_)<α酸化鉄(_III_)<四三酸化鉄の順に大きくなる傾向が認められた。カーボンブラック汚れの場合においては,いずれの処理温度においても,毛フェルト>毛・アクリル混紡>毛モスリンの順に小となる傾向が認められた。

著者関連情報
© 2007 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top