抄録
目的 嚥下食や軟化食の調理には植物性プロテアーゼが活用されている。しかしながら,一般に植物自体にはタンパク質含量が少ないため,プロテアーゼ標品を得るには,大量の材料を用いて大がかりな精製手段を経る必要がある。さらにその過程で自己分解を起こしやすく収率も悪くなることから,植物性プロテアーゼの精製は困難とされている。今回,ゼラチンザイモグラフィーを用いて,微量でかつ簡便にキウイフルーツの全プロテアーゼを検出し,さらに阻害特性を明らかにすることを試みた。
方法 キウイフルーツ果肉をホモジナイズし,遠心分離後の上清をタンパク質処理し,ゼラチンザイモグラフィーを行った。ゼラチン含有SDSポリアクリルアミドゲルを,0.25 % Triton X100を含む緩衝液で再賦活化した後,タンパク質加水分解反応させた。タンパク質染色後のゲル上に現れた,白く抜けたバンドをプロテアーゼとして検出した。さらにこの電気泳動法を利用して,プロテアーゼのpH特性や,阻害剤の影響などを調べた。
結果 キウイフルーツには主要なタンパク質が4種類含まれており,その中で分子量23,000-24,000に数本の著しい活性を持つシステインプロテアーゼが検出された。これらはアクチニジンのアイソザイムの可能性が示唆された。また微量に存在する高分子量タンパク質(100kDa以上)はPMSFで阻害され,未報告のセリンプロテアーゼであると推定された。このような高分子量プロテアーゼはパイナップル果肉では検出できなかった。併せて複雑な精製過程を経ることなく,微量の試料で植物性プロテアーゼを検出することのできるゼラチンザイモグラフィーの応用法についても報告する。