現代のファッションデザインにおける光の表現に関して、まず新素材開発がある。同時に、布の表面装飾として従来のスパンコールやビーズに代わって、発光ダイオードLEDの使用例が近年見られる。LEDは熱を発しないこと、コンピュータ制御によって自在に色彩が調整されること、動きを与えて変幻自在な模様を表すこと等が可能である。 今回の創作研究において、我々は装飾効果で光を利用したファッションデザインとして、ウェディングドレス、その他2着のドレスとアクセサリーを制作した。ウェディングドレスは発光ダイオードで模様を付けたビスチェが特徴である。これは、新しい結婚式空間の演出の可能性を感じさせるものである。 また、光を直接見せるタイプと間接的に見せるタイプの2着の金と銀のペアードレスは、ウエディングドレスとともに顔を白く見せたいという願望に答える機能をもデザイン要素に入れている。さらに、ネックレスとして作成した作品の形状は民族的なモチーフを参考に、白色と青色の発光ダイオードを組み合わせている。これらの発光ダイオードファッションは、近未来のライフスタイルやライフステージの演出道具としても機能することを目指している。しかし、今回のデザインについてはあくまでも生活の場面と溶け合う範囲の表現を目指しており、娯楽的な道具に陥らないように工夫をした。 ここで発表する発光ダイオードファッションの創作は、山口大学工学部の田口常正教授との共同研究によるもので、発光ダイオードの制作は小橋克哉技官が担当したものである。 今後、商品開発に向けてより具体的な可能性を産学にて模索すべく計画中である。