抄録
【目的】ナナカマドは保存料であるソルビン酸の語源に由来し,未成熟粒にはその成分が含まれることが分かっている。しかし,ナナカマドの薬効特性についてはまだまだ明らかにされていない部分多く,ナナカマドの抗菌性についてはもちろん,染色性との関連から明らかにしている研究はほとんどない。そこで本研究では,染色素材としてのナナカマドの抗菌性を明らかにするために,ナナカマド果実の成熟度の違いおよび濃度変化による,身近な食品に由来する細菌に対する抗菌性についての検討を行った。
【方法】ナナカマド成熟粒・未成熟粒については,本大学構内で採取したものを用いた。ナナカマド液は,通常の染色濃度の5倍のものを作製し,1倍は蒸留水で薄めて用いた。細菌は,魚<サンマ>,卵,豚ひき肉の表面から,その採取には,一般細菌検出用および黄色ブドウ球菌検出用DDチェッカー「生研」を使用した。食材に付着させた寒天培地上にナナカマド液を滴下し,37±1℃のインキュベータ内で,一般細菌用は24時間,黄色ブドウ球菌用は48時間培養した。その後,寒天培地上のコロニー数をカウントし,ナナカマド液なしに対する細菌抑制率を算出した。
【結果】ナナカマド液の濃度の効果としては,ナナカマド染液がなしの場合よりも,1倍濃度・5倍濃度の順でコロニー数が少なくなり,また,成熟粒ではその濃度の差が明瞭に表れたが,未成熟粒では,1倍濃度の効果が大きく,5倍濃度の効果とあまり変化がなかった。さらに,魚<サンマ>と卵については,成熟粒および未成熟粒のいずれにおいても,一般細菌・黄色ブドウ球菌に対して顕著な抗菌性が認められた。特に魚<サンマ>に比べて卵は採取できる細菌数も多く,その効果が明瞭にあらわれた。