一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2B3
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2日目口頭発表
京菓子の包餡動作の解析
*濱田 明美大西 明宏太田 達濱崎 加奈子荻野 秀行田中 辰憲白土 男女幸久米 雅仲井 朝美芳田 哲也
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キーワード: 京菓子, 動作解析, 運動学
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抄録

目的日本の伝統文化のひとつに宮廷や茶道とともに発展してきた京菓子がある.その京菓子づくりにかかせない基本技術のひとつに,手だけで包む京都独特の包餡(餡を皮で包む)がある.本研究では,京菓子職人の後継者育成の支援と,その技術を現在のものづくりへ活用するため,包餡の熟練技術を解析した.
方法職歴14年の京菓子職人1名を被験者とした.餡(小豆こし餡,20g)を,皮(こなし,30g)で,包餡した.被験者の両手指の関節に赤外線反射マーカーを貼付し,3次元動作計測装置にて得られたデータから,手指の屈曲・伸展運動について検討した.また,包餡された菓子の重量と形状を定量的に評価した.
結果包餡の工程は,手指の運動の特徴および被験者が"目的別に分割される"とのコメントに基づき,以下の3相に分割した.(第1相)直径約6cmにのばしたこなしの上に丸めた餡をのせ,左手掌内で時計回りに回転させながら皮を上に押し上げる工程.(第2相)両手の拇指と示指で反時計回りに回転させながら皮を閉じる工程.(第3相)菓子の上下を反転し,両手の手掌で小刻みな回転を加えて形を均一に整える工程.包餡時間は菓子1個につき平均11.3秒であった.左示指の運動をみると,第1相では10度から60度の間で屈曲・屈伸運動を規則的に行っていることがわかった.出来上がった菓子の重量は平均50.6gであり,目標値に対するばらつきは1g以内であった.菓子の高さは約34.3mm,直径は平均50.7mmであり,目標値に対するばらつきも1mm以内であったことから,重量,形状ともに高い再現性で包餡していることが明らかになった.

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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