一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2C1
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2日目口頭発表
固体分散ペーストの咽頭部における最大通過速度と摂食量の関係
*佐川 敦子金子 仁美寺島 真美恵志賀 清悟森高 初恵
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抄録

目的高齢者施設で一般に用いられている介護食はおかゆやとろみをつけた刻み食など固体分散ゾル状の食事であることが多い。そこで、分子構造が異なる3種の増粘剤と水の連続相中に固体試料として寒天ゲルを分散し、固体分散ペーストをモデル試料とし、力学特性、飲み込み特性、嚥下時の咽頭部での最大通過速度と摂食量の関係について検討した。
方法固体試料は1.5 w/w%寒天ゲルを5mm角の立方体とし、分散媒(ペースト)は貯蔵弾性率および硬さが同程度の3種の増粘剤(キサンタンガム、グアーガム、澱粉)を用い、0、25、50、75、100w/w%混合して試料とした。摂食量は3、6、9、12gの4段階で実施した。力学特性として、テクスチャー特性、動的粘弾率を測定し、主観測定として官能評価を実施した。また、咽頭部での食塊の最大速度を超音波画像診断装置により測定し、咀嚼回数は5回および30回とした。
結果最大通過速度は、水100%時のみ摂食量が増加するに伴い有意に高くなったが(p<0.05)、その他の分散媒では摂食量の影響をほとんど受けなかった。添加効果は各摂食量においてグアーガムが最も高かった。咽頭部の通過時間はすべての分散媒で摂食量の増加に伴い長くなった。キサンタンガムは他よりも通過時間が短い傾向がみられた。官能評価の硬さでは、摂食量の増加に影響を受けずほぼ同じ評価となり、キサンタンガムが最もやわらかいと評価された。飲み込む力はすべての試料で摂食量の増加に伴い高くなり、4段階の各摂取量において、キサンタンガム>グアーガム>澱粉>水の順位で高い評価であった。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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