一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2C2
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2日目口頭発表
低減化卵白を用いたスポンジケーキの開発
*高橋 享子一橋 沙織
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抄録

【目的】食物アレルギーの治療はアレルゲンの多様化・個人差等により困難とされているが、食物アレルギー患者に対する微量アレルゲンの経口投与による減感作治療が注目されている。我々は卵白アレルゲンの低減化に成功し、すでに低減化卵ボーロ(LAB)を用いた減感作治療の臨床研究を進めている。一方、軽症のアレルギー児の食事レシピには代替食などが見られるが、アレルゲン低減化レシピについてはほとんど開発されていない。本研究では、卵白メレンゲの低減化とレシピ開発を行った。 【方法】卵アレルゲン低減化法として100%卵白・60%卵白でメレンゲを形成した後、高温加圧処理を行い、アレルゲン量を測定した。次に、そのメレンゲを用いてLAB及びスポンジケーキのレシピ開発を行った。アレルゲン量については、アレルゲン・オボムコイドモノクローナル抗体によるIgG結合性をELISA法により測定した。また、アレルギー患児の血清を用いたIgE反応により、アレルゲン量を測定した。 【結果・考察】高温加圧処理メレンゲのアレルゲン量は、生卵白メレンゲの10分の1に低下し、低減化効果が認められた。低減化メレンゲを用いたスポンジケーキでは、生卵白メレンゲに比較して3分の1の膨化であった。しかし、アレルゲン・オボムコイドのIgG結合性は約10分の1に低下し、患児血清によるIgE結合性では、個人差が見られたものの4分の1から32分の1の低下が認められた。以上の事から、低減化メレンゲは、スポンジケーキなど、ボーロ以外の食品への応用が可能であり、卵アレルギー患児の食生活QOL向上に貢献できるものと考えられる。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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