一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2C8
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2日目口頭発表
石鎚黒茶から分離した微生物Rhizomucor variabilisの性質とその作用について
*柳内 志織佐藤 香澄加藤 みゆき庄司 善哉大森 正司
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抄録

【目的】愛媛県西条市石鎚地区には、微生物による二段階発酵を行う製造工程を有する石鎚黒茶と呼称される茶がある。発酵に関与する微生物が、石鎚黒茶製品にどのように影響しているのかは明らかにされていない。本研究では第1段階の発酵にかかわる真菌を分離同定し、その真菌の特徴を捉え、また石鎚黒茶の風味にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とした。
【方法】試料は2006年8月に石鎚黒茶のカビ付け工程で採取した真菌を用いた。
(1)カビ付け工程の茶葉よりPDA培地に25℃5日間インキュベートし、真菌を分離した。この分離株について標準株との比較、検討を行い、形態学的同定を行った。またDNAの塩基配列を明らかにし、相同性を比較、同定を試みた。(2)分離株をPD培地に接種、25℃で10日間インキュベートした。この培地から分子量14,000以上の粗酵素を分画し、粗酵素とヤマチャ抽出液を37℃恒温下で反応させ、カテキン類を逆相HPLCで分析した。(3)(2)で特に粗酵素の影響の大きかった(-)-EGC及び(-)-EGCGを用い、これらカテキンへの影響を検討した。
【結果】(1)真菌分離株の形態観察において、Mucor hiemaris f.sp.hiemalisNBRC9405T及び分離株に仮根形成は認められなかった。Rhizopus oryzaeNBRC31005には胞子嚢胞子にひだ状の模様が確認され、分離株の至適生育温度は25℃付近であった。分離株の28SrRNA遺伝子D2領域のシークエンス解読を行ったところ、相同性はRhizomucor variabilisと98.7%であった。(2)ヤマチャ抽出液へ分離株産生粗酵素を5時間反応させたところ、カテキン分析において(-)-EGCが約14%、(-)-EGCGが65%程度に減少していた。(3) (-)-EGC及び(-)-EGCG単体へ、分離株産生粗酵素を反応させたところ、(-)-EGCでは反応5分で4.3%まで減少、(-)-EGCGにおいても7.5%まで減少した。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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