一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2D1
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2日目口頭発表
ユニバーサルデザインに関する研究(3)
公共トイレに対する意識
*畑 久美子井澤 尚子佐々木 由美子長塚 こずえ成田 巳代子花田 美和子吉田 千恵子
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抄録

【目的】前回実施したユニバーサルデザイン研究の結果、公的設備に対する問題点や課題が多く抽出された。そこで、今回は公共トイレを取り上げ、一般生活者を対象として公共トイレの利用前後の行動に対する意識と実態に関するアンケート調査を実施し、色彩・意匠学の専門性からユニバーサルデザイン(UD)研究に資することを目的とする。 【方法】アンケート調査:配票留置法、時期:2007年10月~11月、対象:16才以上の男女1480名。質問は、基本属性と身体不自由の有無、公共トイレの使用目的、快適性・使用性、案内板について、個室に入るまで・個室内・洗面所の設備・環境・視認性・使用性について等、全96項目に対して調査を行い、単純集計とクロス集計、他の解析を行った。 【結果】トイレの使用目的は、排泄以外に手洗い、化粧、歯磨き、乳幼児の世話、休憩など個室外での使用が高い割合であった。快適性評価の高いトイレは、宿泊・ショッピング・飲食・文化施設等で、最も評価が低かったのは公園・道路であった。交通機関は快適と不快の評価に割れ、バラつきが認められた。トイレ場所を示す案内板に対する評価は、見つけにくい、見えにくい、絵や文字が小さい等の項目で否定的回答が多く、視認性、誘目性、可読性等に関して再検討が望まれる。個室に入るまでと個室内の環境・設備では、床の汚れ等の衛生上の問題や個室数が少ない、使い捨て座面シート、荷物置場、手すり、消音装置、防犯設備が不十分等設備面の他に様式や空き状況がわからない、使用方法の絵文字の案内が見えにくい、説明不足等の不満も高い割合であった。使用目的としてニーズの高い洗面所に対しては、荷物置場、スペースが不十分、濡れや汚れ、水道の自動センサーがわかりにくい等、設備・環境等のハード面と使いやすさ等のソフト面に対する要望が高い結果を得た。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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