一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2A5
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2日目口頭発表
成熟脂肪細胞に及ぼすAAおよびEPAの影響
*尾崎 直子岩村 真実池本 慎二藤原 葉子
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キーワード: 脂肪細胞, 炎症, 脂肪酸
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抄録

目的:2型糖尿病の発症に関与する脂肪組織での炎症状態に多価不飽和脂肪酸がどのような影響を及ぼすか、またそのメカニズムは未だ明らかでない。本研究室の以前の研究で成熟脂肪細胞にAAおよびEPAを添加したものをDNA microarrayを用いて遺伝子発現を網羅的に解析したところ、炎症関連遺伝子の発現上昇が見出された。本研究ではその中でも発現上昇が顕著であったinterleukin6(IL-6)遺伝子に注目し、プロスタグランジンE2生成と酸化の観点からその発現上昇メカニズムについて検討した。 方法:SGBSヒト脂肪細胞は4日間の分化誘導後10日間成熟させた。成熟脂肪細胞細胞にAAおよびEPAを添加し24時間後リアルタイムPCR法にてIL-6遺伝子発現を測定した。プロスタグランジンE2の生成については生成酵素であるCOXの阻害剤であるインドメタシンをAAまたはEPAと同時に添加し、IL-6遺伝子発現とプロスタグランジン量を測定した。酸化については抗酸化剤として知られるα-トコフェロールおよびレスベラトロール、セサミンをそれぞれ添加し、IL-6遺伝子発現と過酸化脂質の量を測定した。 結果:IL-6遺伝子はAAおよびEPA添加で有意に発現が上昇し、そのメカニズムとしてAAではプロスタグランジンE2の生成が関与していることが示唆された。またAAとEPA両方で過酸化脂質の関与が示唆された。同じく抗酸化作用を持つα-トコフェロールおよびレスベラトロール、セサミンではその効力に違いが見られたため、それぞれの持つ作用についても今後検討する必要がある。

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