一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2A8
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2日目口頭発表
糖尿病ラットにおける骨代謝
*稗 万美子下野 真未藤井 佳代子塚本 幾代
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抄録

[目的] ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットを用いて,糖尿病が骨代謝に及ぼす影響について検討した。[方法] ラット(10週齢,雌)にストレプトゾトシン(STZ;45mg/kg)を腹腔内投与後,1週間飼育し,24時間尿及び血液、遠位大腿骨を採取した。尿中の1型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)量,及び,血清中のグルコース(Glu)濃度,オステオカルシン(OC)濃度を測定した。また,骨中のアルカリホスファターゼ(ALP)活性,酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)活性,カテプシンK(CatK)活性,カルシウム(Ca)量,ヒドロキシプロリン(Hyp)量を測定し,CatKタンパクレベルをウエスタンブロット法を用いて測定した。さらに,RT-PCR法を用い,骨中のALP,OC,TRAP,CatKのmRNAを測定した。[結果と考察] STZ投与群の血清Glu濃度は対照群の約3.2倍に有意に上昇した。尿中NTx量は対照群の約3.6倍に有意に上昇し,骨中のCa量,Hyp量は対照群の約76,90%に各々有意に減少した。骨形成活性の指標である血清OC濃度及びALP活性は対照群の約40,70%に各々有意に減少した。STZ投与群のALP mRNAレベルに対照群との差異は認められなかったが, OC mRNAは対照群の約40%に有意に減少した。また,STZ投与によって骨吸収活性の指標であるTRAP活性とmRNAレベルは対照群の約2倍に有意に上昇した。CatKの活性,タンパク,およびmRNAレベルも対照群の約2倍に有意に上昇した。即ち,STZ誘導糖尿病において,骨形成活性の減少と骨吸収活性の増加が起こり,骨量が減少することが示唆された。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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