一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2A-1
会議情報

鹿内瑞子旧蔵資料からみた昭和30年前後の小学校家庭科
東京女子高等師範学校卒業生と家政学専門職に関する研究の一環として
*八幡(谷口) 彩子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 筆者は、東京女子高等師範学校卒業生と家政学専門職に関する研究の一環として、同校家事科の卒業生である鹿内瑞子氏の旧蔵資料を読み進めている。すでに、昭和20年代における小学校家庭科の存置運動と「小学校家庭生活指導の手びき」(昭和26年)等の刊行に携わった「小学校家庭委員会」における議論を検討した。本研究では、それに引き続き昭和31年の小学校学習指導要領改訂に関わった委員会における審議過程を検討する。
方法 国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資料」のうち、昭和31年の「小学校学習指導要領」(家庭科)改訂に関連する資料を用いた。とくに、「昭和30年代 要領筆記」(資料No.209)と標題のある資料を中心に検討する。
結果 (1)昭和29年10月20日に開催された第1回委員会では、初等教育課長より、昭和20年代における小学校家庭科の教育課程行政に関する説明と、委員会で取り組む課題が示された。(2)特に、それまで充分に研究がなされていなかった小学校家庭科の性格、目標、中学校との関係等についても研究すること、「裁縫」を小学校としてどのように位置づけるのか、他教科との関係などの課題が示された。(3)改訂作業を進めるにあたっては、小学校社会科の学習指導要領編集試案が参考にされた。(4)家庭科の学習内容を小学校第5・6学年に配当するにあたっては、主眼となるべき内容、児童の発達段階、基礎的なものから応用的なものへ発展させる等の諸点が検討された。(5)「小学校家庭生活指導の手びき」等の内容を敷衍し、両者の関係性についても模索された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本家政学会
次の記事
feedback
Top