[目的] 肥満症を含めた生活習慣病は集団や民族間において有病率が異なることから、その発症には個人の生活習慣、遺伝因子の関与、生活習慣と遺伝因子の相互作用が重要であると報告されている。これに対し、より有効な予防法・治療法が期待される。そこで、本研究では日本人成人男性を対象とし、脂質代謝に関与する候補遺伝子の一塩基多型、臨床的指標、生活習慣との関連性を検討した。〈BR〉 [方法] 福岡労働衛生研究所が行った健康診断受診者から集めた40~60歳の日本人男性148名について遺伝子多型、生活習慣、臨床的指標との関連を調査した。生活習慣病との関連を検討する候補遺伝子として、PLIN1、PLIN4、PLIN rs8179043、LIPE、ADIPOQ等を選択した。〈BR〉 [結果・考察] PLIN4ではAA遺伝型でBMI・腹囲が有意に高くなったが、PLIN1、PLIN rs8179043では臨床的指標と遺伝型との間には有意な関連が認められなかった。また、転写領域のSNPであるLIPEではCG遺伝型の血清中性脂肪濃度が有意に低くなった。生活習慣(食生活)との県連性より、LIPEの転写をコントロールすることで中性脂肪のコントロールの可能性が示唆された。〈BR〉