一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2C-5
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レスベラトロール摂取によるPPARαを介した作用機構
*中田 理恵子勝川 路子井上 裕康
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抄録

目的 レスベラトロールは、赤ワインに含まれるポリフェノールで、「フレンチパラドックス」に関与する分子として注目されている。一方、核内受容体PPARは、α,β/δ,γの3種のサブタイプが存在しており、生活習慣病予防の標的分子として認められている。我々はこれまでに、レスベラトロールがPPARα,β/δ,γを選択的に活性化することを細胞培養系で明らかにした。そこで今回は、野生型およびPPARα欠損型マウスにレスベラトロールを摂取させ、PPARαを介した個体レベルでの作用機構について検討した。
方法 雄性(11~12週齢)の野生型(129系)およびPPARα欠損型マウスに、レスベラトロールを0,0.02,0.04%添加したAIN93G基本配合食をそれぞれ4週間摂取させた。摂取後の組織からRNAを抽出し、定量RT-PCR法により遺伝子発現の変動を調べた。
結果 野生型マウスの肝臓では、レスベラトロールの摂取により、PPAR応答配列を持つアシルCoAオキシダーゼ,Cyp4a14,脂肪酸結合タンパク質1,長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼの各遺伝子発現が、有意に上昇した。一方、PPARα欠損型マウスでは、発現の増加は見られなかった。以上より、レスベラトロールは脂肪酸の輸送や燃焼に関与する遺伝子の発現を、PPARα依存的に誘導することが個体レベルで明らかとなり、この分子作用機構を介して、生活習慣病予防に寄与する可能性が示唆された。
(研究協力者:田村恵美,小菅由希子,刈谷 斐)

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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