一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2D-3
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「会津小菊カボチャ」のガンマーアミノ酪酸
*水野 時子山田 幸二
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抄録

【目的】福島県会津地方には、江戸時代から栽培され、皮が固いため長期保存ができると言われている「会津小菊カボチャ」がある。近年、地産地消や伝統野菜に加え、健康志向から食品に含まれている機能性成分についての関心が高まっている。とくにカボチャは、血圧上昇抑制や精神安定作用等が知られているガンマーアミノ酪酸(GABA)の生成酵素活性が高いことが知られている。そこで、伝統野菜である「会津小菊カボチャ」の栄養成分とGABAを含む遊離アミノ酸組成について検討した。
【方法】試料には、会津の生産農家より入手した会津小菊カボチャ(小菊)と都カボチャ(都)、市販の北海道産カボチャ「雪化粧」およびメキシコ産カボチャの4種を用いた。一般成分は常法、カロテン含量は高速液体クロマトグラフ法、ミネラル成分はICP発光分析法、遊離アミノ酸は75%エタノールを用いて還流抽出(80℃、20分)を行い、日立L-8800型高速アミノ酸自動分析計の生体液分析法で分析した。
【結果】「小菊」は「都」に比べて、水分、タンパク質、脂質含量は低値で、アルファーカロテンは約6倍、ベーターカロテンは約1/5倍、鉄は約3倍であった。主要な遊離アミノ酸は、4種ともGABA、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミンであった。GABA含量は4種に顕著な違いは見られなかったが、遊離アミノ酸総量に占めるGABAの割合は「小菊」が最も高かった。0.1%のグルタミン酸溶液を加え40℃に1・2・3時間放置した結果、4種のカボチャとも1時間でグルタミン酸は顕著に減少しGABAは顕著に増加した。「小菊」はグルタミン酸からGABAへの変換率が高かった。

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