一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 3P-16
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奈良の伝統野菜“大和マナ”の育種におけるイソチオシアネート含量の評価
*竹内 典子武知 明希山内 亜沙美西本 登志浅尾 浩史越智 康治山口 智子高村 仁知
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抄録

【目的】近年、地域で生産した農作物を地域で消費する「地産地消」への注目が高まっている。奈良県においても、地域に根ざした伝統野菜・特産野菜として大和野菜19品目が選定されており、市場への拡大が図られている。それらのうち、アブラナ科の非結球性葉菜(ツケナ類)の一種である大和マナは、類縁のコマツナなどと比べて甘味があり、美味であると評価されているが、品質にバラツキがあり、葉が黄化しやすいなどの問題のため、大規模流通には至っていない。しかし、大和マナに含まれるイソチオシアネートは、抗がん性や抗炎症作用などの機能性が確認されており、機能性の面からも注目されている。発表者らは、優れた品質を有する大和マナを作出するための育種を行っており、イソチオシアネート含量についても、より多く含む品種の育成を目指している。本研究では、育種中の大和マナ各系統について、イソチオシアネート含量を定量し、評価を行った。
【方法】育種中の各系統の大和マナの葉を凍結乾燥後、水抽出を行い、1,2-ベンゼンジチオールを加えることにより、イソチオシアネートと反応して生成した1,3-ベンゾジチオール-2-チオンをHPLCで定量した。
【結果】イソチオシアネート含量について、親系統においては、系統間差が見られ、各系統内では個体間差がみられた。一方、イソチオシアネート含量の高い親系統を組み合わせて作出したF1系統においては、イソチオシアネート含量が高く、個体間差が小さかった。このように、イソチオシアネート含量の高い親系統を用いて、品質にバラツキの少ないF1品種を選抜することが可能となり、イソチオシアネート含量が高く品質の安定した大和マナの市場への普及が期待される。今後は、イソチオシアネート含量の高い系統について、品種登録を目標に、葉の形状、草姿、生育速度等について再度確認を行う予定である。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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