一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 3P-38
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靴内における細菌増殖と不快臭の発生
大川 真由子*永井 伸夫瀬谷 共美田村 照子
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キーワード: 不快臭, , 細菌
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抄録

【目的】 ヒトは日常生活の中で多くの不快臭に暴露されており,特に靴および靴下臭がおよぼす不快感は大きいと考えられる。本研究では日常生活における靴内の汚染を細菌培養により推測し,靴内から発生するにおいの官能評価,成分分析を通じて,細菌増殖と不快臭の関係性について検討した。
【方法】 被験者は健康な女性3名(22歳)を対象とし,綿靴下着用時にはスニーカーを,ナイロンストッキング着用時にはパンプスを2日間にわたり合計19~20時間着用した後,細菌を採取(足部,靴下,靴内の計6部位),靴下臭については,8形容詞対についてSD法による官能評価を行った。次に靴下臭の全体像を把握するため,におい識別装置(FF-1,島津製作所)を用い,基準ガスとの類似性の分析を行うと共に,ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS, QP2010,島津製作所)を用いて靴下臭の同定を行った。
【結果】 検出された細菌数については,綿靴下およびストッキング着用時ともに,足部では指間が多く,靴内ではつま先部が多かった。におい識別装置による分析では,硫黄系,有機酸系,アミン系,アルデヒド系で高い臭気寄与が得られ,特に綿靴下では顕著であった。酸味のある刺激臭や生臭さが靴下臭のにおいの原因であることが示唆され,これは官能評価の結果と同様であった。足部の細菌数と,官能評価およびにおい識別装置によるにおいの強度において関連性が認められた。GC-MSによる分析では,靴下臭の成分として,オクタナール,ノナナール,デカナールが共通して検出された。これらのことから靴内から発生する不快臭は汗や皮脂などの老廃物および細菌増殖が要因であることが推察された。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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