一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2E-8
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果物プロテアーゼが米タンパク質に及ぼす影響
*平野 利恵長野 宏子
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抄録

【目的】前報では、東南アジアにおける伝統的な発酵食品である発酵米麺カノンチーンを取り上げ、その製造時に微生物酵素が作用し、米たんぱく質の遊離アミノ酸の増加、たんぱく質分解及び低アレルゲン化していることを明らかとした。今回、東南アジアで食されている米と果物の調理を参考に、果物に含まれる酵素も同様に米たんぱく質に作用することが期待できると考えた。そこで、本研究では米にキウイフルーツを加え、浸漬・炊飯し、キウイフルーツプロテアーゼの米たんぱく質への作用を検討した。
【方法】(1)洗米コシヒカリにキウイフルーツを混合し、時間と温度の条件を変えて浸漬した。その後電気釜にて炊飯し、飯とした。(2)飯を凍結乾燥し、粉砕した。(3)0.5MMaClにて抽出し塩可溶画分の試料とし、残渣をUrea・Trisにて抽出し塩不溶画分の試料とした。米の浸漬時にpH測定を行い、各抽出試料を用いて、たんぱく質含量測定(Lowry法)、遊離アミノ酸含量測定(ニンヒドリン法)、SDS電気泳動実験を行った。
【結果】キウイフルーツを加え、浸漬したものはpHが4.0~4.5程度であった。塩可溶・塩不溶たんぱく質ともに、浸漬時間が長くなるとたんぱく質含量・遊離アミノ酸含量ともに増加した。このことは、キウイフルーツプロテアーゼによって、たんぱく質が可溶化しやすくなったこと、またたんぱく質が分解され遊離アミノ酸が増加したと考えられる。SDS電気泳動実験より、塩可溶・塩不溶たんぱく質ともに時間の経過によってたんぱく質の分解が進んでいた。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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