一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2A-1
会議情報

加熱・冷凍中のじゅんさいのポリフェノール量の変化
*三森 一司加藤 由美子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 じゅんさい(Brasenia schreberi)は多年生の水生植物で、ゼリー状の透明な粘膜に覆われ独特のヌメリとツルツルした食感を有する秋田県の特産品である。本研究では、抗酸化作用、抗動脈硬化等の生理作用が報告されているポリフェノールに着目し、包装形態の異なるじゅんさいのポリフェノール含量の違いと調理加熱や冷凍に伴うポリフェノールの消長について検討を加えた。
方法 ポリフェノールの抽出は中林らの方法に準じて行った。ポリフェノール量はFolin Denis法を用いて760nmにおける吸光度から求め、二次元のペーパークロマトグラフ法によりポリフェノールの同定を行った。
結果 袋詰めじゅんさいに含まれるポリフェノール量は、ナシやリンゴの未熟果に相当する496 mg/100gであり、二次元のペーパークロマトグラフ法により、移動性会合型タンニンとD-カテキンが分離・同定された。包装形態によるポリフェノール量の相違を調べたところ、袋詰めが一番多く、次いで生、瓶詰めという結果が得られた。加熱に伴うポリフェノール量の変化は、加熱1分後に約1/3に急激に減少し、その後の減少は緩やかであった。じゅんさいのポリフェノール量の減少に伴い、加熱溶液中のポリフェノール量が増加したが、じゅんさいから損失した量よりも加熱溶液に溶出した量が少なかったことから、溶出だけでなく、熱による酸化・分解によってポリフェノール量が減少したものと考えられた。冷凍によってもポリフェノール量は減少したが、低温短時間で冷凍した場合よりも高めの温度で冷凍した方が、冷凍時間が長くてもポリフェノールの減少は少なかった。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本家政学会
次の記事
feedback
Top