一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2C-2
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ペトリフィルムACプレートを用いる乳酸菌数測定の評価
*逵 牧子寺本 忠司守山 隆敏横井川 久己男
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抄録

(目的)食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格に関する省令」で定められた乳酸菌の公定培地は、BCP加プレートカウント寒天培地(BCPM)である。しかし、栄養要求性の高い乳酸菌は生育が遅く、すべての乳酸菌の生育に適しているわけではない。また、MRS寒天培地(MRSM)は培地成分が豊富であり、ほとんどの乳酸菌の生育に適しているため欧米諸国では広く使用されている。一方、簡易検査キットは操作に熟練を必要とせず簡便であることから、一般細菌用、大腸菌群用、黄色ブドウ球菌用等の種々な製品が市販されているが、乳酸菌用の簡易生菌数測定キットは開発されていない。本研究では、乳酸菌の生菌数測定を、3種類の培地(BCPM、MRSM、一般細菌生菌数測定用キット)で比較検討した。
(実験材料と方法)BCPMは日水製薬、MRSMはオキソイド、ペトリフイルムACプレート(PFACP)はスリーエムヘルスケアの製品を使用した。乳酸菌は、Lactobacillus plantarum NBRC15891, Lactobacillus casei NBRC15883, Lactobacillus animalis NBRC15882の3株を使用した。培養は35℃で48時間又は72時間行った、なお、PFACPのみ嫌気培養を行った。
(結果と考察)3株の乳酸菌の生菌数は、いずれの培地を用いても有意差は見られなかった。そこで、市販の乳酸菌飲料24例と発酵乳6例、及び乳酸菌の存在が予想される漬け物39例と食肉13例を用いて、生菌数測定を行った。その結果、3種類の培地いずれを用いても、ほぼ同様の結果が得られた。従って、乳酸菌生菌数測定において、BCPM、MRSM、及びPFACPは実際上、有意差はないと考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本家政学会
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