一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2D-3
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手縫いの基礎的・基本的な技能の学習と手指の巧緻性
*寳達 佑美鳴海 多恵子
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抄録

[目的]手指の巧緻性と手縫いの基礎的・基本的な技能(糸通し・玉どめ・玉結び)の習得・定着との関係を明らかにすることを目的とした。[方法]都内の公立小学校2校の5年生207名、6年生215名を対象として糸結びテスト、アンケート調査及び学習実態観察を行った。初めて手縫いを学習する5年生には、学習前に学校生活における手指を使う活動に対する自信やものづくりに対する意欲・関心等について調査し、それらを基礎資料として学習実態観察を行った。学習後には、糸通し・玉どめ・玉結びの習得、得意意識等を調査した。6年生の児童には、糸結びテストと糸通し・玉どめ・玉結びの定着と得意意識等に関する調査を行うと共に、布を用いた製作の学習活動において、糸通し・玉どめ・玉結びの作業実態を観察した。[結果]糸結びテストの成績は平均値が、男女共、5、6年生共に1995年の成績と比べ有意な低下がみられた。5年生は、糸通し・玉どめ・玉結びの得意意識と糸結びテストの成績間に正の相関がみられ、手指の巧緻性との関連が認められた。また、学習実態観察において、糸結びテストの成績の優劣と学習進度とに関係があることが観察され、イチゴに玉どめ・玉結びで種を作る教材等で学習進度を測ったところ、糸結びの成績と玉結び・玉どめの個数に正の相関があることが確認でき、手指の巧緻性は学習進度に影響していることが数値的に確認された。6年生では、5年生で学習した糸通し・玉どめ・玉結びは得意であり、正しい方法を理解していると6割以上が回答したが、学習の実態では教科書で提示されている方法以外の、自分で工夫したやりやすい方法で行っている児童が少なくないことが観察された。

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