目的 高齢化が進む住宅地では、高齢居住者がそれまでの経験を生かして活躍できる場やまちづくりに参加できる仕組みが必要となっている。福岡県宗像市葉山地区は、1970年代に分譲され高齢化率が40%を超えた郊外戸建住宅地で、2005年に「葉山ヘルスケア省エネ共和国」を設立し、省エネ活動をまちの活性化に活かしている。本研究では、まちづくり活動として高齢者が主体となって行う省エネ活動の可能性について検討することを目的として、葉山地区の活動および葉山地区周辺の一般高齢者の地域活動や省エネ活動の実態について調査した結果を報告する。
方法 葉山地区調査は、2009年6月に役員2名のヒアリング調査により実施した。葉山地区周辺の一般高齢者に対する調査は、同年12月にアンケート調査により実施し、回収数(率)は83票(83.0%)、有効回答数(率)は80票(96.4%)であった。
結果 葉山地区の活動は、NPOや大学など専門家のサポートを受け、省エネと健康が2本柱となっている。エコ料理教室や独自に決めたノーマイカーデーなどが行われ、高齢者の関心が高い健康づくりと社会貢献が実感できる省エネ活動が結びついている。一方、一般高齢者が地域で行う活動は、自治会・老人クラブ、美化・清掃、スポーツ・健康維持、高齢者・障害者の援助等(参加率50%以上)であり、その主な参加理由は、地域の人とかかわりがもてる、楽しい、まちや社会に貢献したい、健康維持になる等である。一般高齢者が行う省エネや環境配慮のとりくみは、ごみ分別やリサイクルなど各家庭で行うものにとどまっているが、地域で省エネ活動を行うことに意欲的である。高齢者による省エネ活動をまちづくり活動に取り入れるためには、楽しさや健康づくりといった要素が必要と言える。