一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2H-5
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アンペイドワークの評価をめぐる国内外の動向と新たな社会的評価手法の位置づけ
*天野 晴子伊藤 純粕谷 美砂子齊藤 ゆか水野谷 武志
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抄録

目的
アンペイドワーク評価の国際的な動向は、2000年以降、世帯サテライト勘定をめぐる議論と試験的作成に一定の展開がみられる。先進諸国における試算が行われる中で、Eurostatは世帯サテライト勘定の方法論をめぐる検討と提案をまとめている(2003年)。日本では、内閣府総合経済社会研究所による『無償労働の貨幣評価の調査研究』(2009年3月)が発表された。アンペイドワークの評価について、政策との関連の検討不足が指摘(橋本、2009)されており、報告者らは政策との関係性に注目しながら、新たなアンペイドワークの社会的評価の可能性を提起してきた(天野他2004,2008)。
本報告の目的は、アンペイドワークをめぐる評価と試算の展開を、アンペイドワークにかかわる政策との結びつきに焦点をあてて検討するとともに、これらにおける社会的評価手法の位置づけを明らかにすることである。
方法
アンペイドワークの評価をめぐる国内外の動向に関連する出版物、報告書を分析するとともに、報告者らが東京都世田谷区で実施(2005年10月)した「生活時間調査・付帯アンケート調査(アンペイドワークの社会的評価調査票)」データを使用した。
結果
1.社会的評価の試算では、アンペイドワークの総合評価点が高い家事労働アイテムは、「育児・教育」「身体介護」「介護に伴う家事」、社会的活動アイテムは「高齢者・障害者への日常的な手助け」「緊急災害支援活動」等であった。
2.社会的評価と貨幣評価の相違から、政策課題への結びつきが示された。
3.アンペイドワークの評価を経済・社会政策等と関連づけた議論において、先行研究で示された必要データの段階論に、新たな社会的評価の位置づけを提起した。

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© 2010 一般社団法人 日本家政学会
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