一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2J-4
会議情報

明るさ評価への季節の影響
-個人差について-
*石田 享子井上 容子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】人の目は、視野輝度の変化に応じて、数秒から数十分という比較的短い時間で刻々と感度を変える。この視覚特性のため、視環境においては長期的な順応に関する研究が稀少である。そこで、本研究では長期的な順応として季節を取り上げ、季節の違いが明るさ評価に与える影響を明らかにする。明るさ評価は主観評価であり誤差が大きいため、本報では、季節の影響の検討に先立ち、個人内・個人間誤差についての検討結果を示す。
【方法】実験では、顔面鉛直面照度0.5~2000 lxまでを段階的に呈示し、これを被験者が評価する。評価項目は「明るさ感(10cmの直線)、まぶしさ感(2段階)、快適感(2段階)、くつろぎ感(4段階)」である。評価室は、反射率が床26%・壁93%、約4.5畳大である。実験変数は、呈示照度(12段階)、色温度(3000K・6700K)、季節(夏・冬)である。被験者は27~31名の女子大学生である。
【結果】1)個人内誤差:明るさ感、まぶしさ感、快適感は照度により変化する。くつろぎ感は、照度による影響が小さく、両者の関係は個人ごとに明確である。2)個人間誤差:4項目全てにおいて照度により変化する。明るさ感は500 lx以上の高照度、まぶしさ感は50 lx以下の低照度、快適感は20~100 lx、くつろぎ感は5~20 lxで安定した評価が得られる。誤差の指標となる標準偏差の最小値と最大値は、明るさ感(0.2 , 1.2)、まぶしさ感(0 , 0.42)、快適感(0.17 , 0.45)、くつろぎ感(0.5 , 1.1)である。3)明るさ感が飽和する500~2000 lxを除くと、個人内誤差よりも個人間誤差の方が大きい。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top