一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 3C-12
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生化学評価と心理尺度を用いた瞑想効果の検討
*得丸 定子名嘉 一幾小城 勝相
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抄録

【目的】「思いやり感」育成への試験的アプローチとして「瞑想」を導入し、その効果を生化学指標(唾液中αアミラーゼ活性:以下AMYと略す。唾液中免疫グロブリンA:以下IgAと略す)と心理尺度(ストレス感、思いやり感、内面の広がり感)による評価を試みた。
【方法】パイロット研究のため、対象は少数の大学生(瞑想群8人、対照群7人)とし、AMY・IgAは瞑想実施初日と8ヶ月後の2回、それぞれ瞑想開始直前と瞑想終了直後に行った。唾液はサリベットを用いて採取後、AMYは唾液アミラーゼモニター(ニプロ社)、IgAはELIZAキット(Salimetrics社)を用いて測定した。心理尺度は瞑想実施初日と8ヶ月後の2回自記式アンケートを行った。
【結果】AMYは瞑想群内・対照群比較共に、瞑想前後、実施初日と8ヶ月後の有意な変化はなかった。問診票を参考に緊張感の高まった2人を除外した瞑想群内の比較では、初回と8ヶ月後の各々で瞑想後のAMYは低下。つまり、ストレス度は減少。
IgAは瞑想群内比較では開始時と8ヶ月後の各々、瞑想後で有意に上昇。対照群との比較でも瞑想群は瞑想後、有意に上昇。つまり、瞑想群はストレス度が低下し、免疫力が高まった。しかし、瞑想初日と8ヶ月後との比較では有意差はなし。
心理尺度では、対照群との比較、瞑想群内比較、共に8ヶ月後は有意差なし。しかし瞑想群内比較で、下位項目の検定を行うと「生命の素晴らしさ、神秘性に、畏敬の念を持っている」の下位項目のみ、8ヶ月後有意に高まった。
本研究では「思いやり感」測定の目的は達せられなかったが、瞑想することによりストレスが緩和され、スピリチュアル感の高まりが認められた。

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© 2010 一般社団法人 日本家政学会
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