抄録
目的:食生活を把握するために,質問紙調査や食事の写真撮影による食事調査が一般的に行われている.これらの調査から栄養素,食品群別に摂取量の把握はできるが,食事内容の特徴の分析は困難である.そこで,アンケートの自由記述分析や文書の分類,検索等に使用されるテキストマイニングを用い,食事調査の際にテキスト入力された食事内容から,大学生を中心とする若年世代の食事内容の特徴の構造を明らかにすることとした.
方法:2008年10月~12月にかけて,調査内容に同意が得られた3大学及び1高等専門学校学生106名(男性;29名,女性;77名) に日常生活に近い5日間,カロリーのある飲食物全ての写真撮影及びそれらのテキスト入力を依頼した.テキスト入力された食事内容を食品・調味料,料理,嗜好品などのカテゴリーに分類し,それら飲食物の出現割合ならびに回数をPASW Text Analytics for Surveys (SPSS)を使用し,性別,通学別,調査校別に分析した.
結果:全対象者において,食品・調味料は,にんじん,たまねぎ,卵,キャベツ,豚肉,料理はご飯,みそ汁,サラダ,嗜好品はケーキ・ペストリー類,菓子パン類の出現頻度が高かった.しかしながら,5日間の分析で全対象者が1回以上共通して食したものは存在しなかった.性別においては,男性は唐揚げ,コロッケなどの肉や油を多用した料理,女性は煮物,炒め物などの比較的あっさりした料理の出現頻度が高かった.通学形態,調査校による差はほとんど認められなかったが,摂取回数,摂取内容に若干の違いがみられた.