一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-30
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5月28日
カカオ豆の発酵日数とそれを用いたチョコレートの食味と嗜好の関係
*飯田 文子葛西 真知子芦谷 浩明
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抄録

目的 チョコレートに用いるカカオ豆は、1週間程度発酵させてから用いるが、その間の食味の違いは明らかにされていない。そこで発酵度合いの異なるカカオ豆から作製したカカオマスおよびチョコレートの食味の違いとその嗜好を検討することにより、最適な発酵日数のチョコレートを明らかにすることを目的とした。
方法 ガーナ産のカカオ豆を用い、発酵日数0-8日のカカオ豆を同一条件でロースト後、粉砕して調製したカカオマスを用い味・香りの項目を整理し、官能評価用紙を作成した。また、上記のカカオマスを用い、カカオ分60%の配合割合のチョコレートを調製し、訓練パネル11名および学生66名に7段階評価尺度での官能評価を行った。同時に機器分析として一般成分分析・HPLC・Folin-Ciocalteu法・SPME・GCにより遊離アミノ酸・カフェイン・テオブロミン・ポリフェノール・ピラジン化合物の分析を行い、比較検討した。
結果 成分分析値よりカカオ豆は発酵日数が増すほど遊離アミノ酸含量・アルキルピラジン化合物は増加し、テオブロミン・ポリフェノール含量は低下した。また、酸合計は4日にピークがみられた。訓練パネルによるカカオマスの分析型官能評価では、発酵により有意に「甘味」「うま味」「香り」が増加し、「苦味」「渋味」が減少し、「酸味」は4日が高くなり、分析値と整合性がみられた。チョコレートを用いた官能評価では、訓練パネルは8日の試料を、学生パネルは6日の試料を高く評価した。重回帰分析の結果より、訓練パネルは「香り」を重視し、学生パネルは「甘み」を重視すると考察された。
結論 カカオ豆は発酵により「苦味」「渋味」が減少し「香り」が増加することが示唆された。また発酵日数は6-8日が良いと結論づけられた。

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