一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-31
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5月28日
きんぴらごぼうの抗酸化能に及ぼすアク抜きおよび醤油添加量の影響
長尾 慶子佐藤 久美*粟津原 理恵原田 和樹遠藤 伸之
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抄録

[目的]ごぼうの褐変は含有する数種のポリフェノールの酵素的酸化が要因であり、これらはアク成分とされ水晒し処理で除去されている。しかしポリフェノールは高い抗酸化能を有するため、水晒し(アク抜き)での損失はごぼうの機能性低下に影響すると予測される。本研究では、ごぼうの風味を保持しつつ抗酸化能の高いごぼう料理の調製法を提案するために、アク抜き時間を変えたごぼうおよび調理したきんぴらごぼうの抗酸化能を比較した。また、きんぴらごぼうに使用する醤油添加量による抗酸化能変化も併せて調べた。
[方法]千切りごぼう各40g(未浸漬)と、これらを水道水200gにそれぞれ1,20,40および60分浸漬し、ごぼうと浸漬液を取分けた。きんぴらごぼうは未浸漬およびアク抜き20分のごぼう80gを用い調製した。さらに醤油添加量を変えた(0g,6g,12g)きんぴらごぼうを調製した。浸漬液以外の試料は48時間凍結乾燥後、水および70v/v%エタノールで抽出した。抗酸化能は化学発光法によりペルオキシラジカル捕捉活性を測定して、IC50値により評価した。
[結果]アク抜き処理によりごぼうの抗酸化能は有意に低下した。アク抜き20分以降の浸漬液のIC50値に有意差はなく高い抗酸化能を示すことから、ごぼうの抗酸化成分は浸漬液に溶出し、それが20分で飽和状態になると推察した。きんぴらごぼうでも未浸漬ごぼうを使用することでより高い抗酸化能を示した。醤油添加量を変えたきんぴらごぼうでは、醤油無添加試料が最も抗酸化能が高かった。これは醤油の塩分による影響と考えられ、アク抜き処理を省き、醤油(塩分)量を控えることで抗酸化能の高いきんぴらごぼうの調製が期待できる。

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