一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-34
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5月28日
福岡県の年中行事における行事食の現状
*竹下 華織仁後 亮介松隈 美紀
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抄録

【目的】近年、調理の近代化や簡便化、外食産業の発展等が影響し年中行事や行事食が消滅・簡略化されているが、現在の国際化社会において自国の伝統的食文化を知ることは重要なことである。本研究では食育の一環として食文化を伝承するため現在の行事食の現状を把握することを目的とし、行事食に関するアンケート調査を試みたので報告する。【方法】本研究は日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食」の一環として福岡県の調査を行ったものである。○対象:本学短期大学部の1年生164名とその家族各1名の計328名(回収率66.8%、うち福岡県在住者72.6%)○時期:2009年12月~2010年1月○方法:留め置き調査法○内容:15の年中行事における行事食と福岡県の郷土料理に関しての喫食経験や喫食状況等である。【結果】重陽の節句は認知17.6%・経験5.7%、正月・節分・大晦日・クリスマスは認知・経験ともに約90%と、重陽の節句は五節句のうち他の四節句に比べて認知・経験ともに低いことがわかった。またクリスマスは比較的新しい行事であるが現代家庭に定着し伝統的な行事である正月と同様に習慣化されていることがわかった。福岡県の郷土料理では、だぶを除いた料理は認知・経験ともに比較的高く、がめ煮においては92.8%と今でも喫食されていることがわかった。今回の調査で郷土料理や節句行事の料理は、以前喫食していたのに「食べる人がいなくなった」や「作れる人がいなくなった」等の理由により伝承が消滅しつつあるという結果が得られた。これらの結果より、今後も同様のアンケート調査を行っていき行事食の現状を把握し食文化を伝承するための食育に活用していきたい。

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