一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-46
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5月28日
画像解析による乾燥過程での布しわ外観の評価
*森 俊夫内田 裕子杉浦 愛子日下部 信幸
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抄録

目的 湿潤-乾燥過程での布表面のしわ外観の変化は極めて多様であるため、これまでに客観的に研究した例はほとんどない。これは、緩和収縮や膨潤収縮、乾燥による収縮などによる布表面の外観変化は大変複雑で、しわ外観の経時的な微妙な変化を視覚的に評価することが極めて困難であったためである。本研究では湿潤-乾燥過程における布のしわ外観の経時的変化を解明するために、カラースキャナを通して布の表面変化を画像として一定時間ごとに計測し、画像解析によりしわ外観の画像情報量を求めた。
方法 綿とウールの未加工布の湿潤状態に、しわのない外観、ランダムなしわ外観、ランダムな折りしわ外観を付与した。これらの布表面の湿潤―乾燥過程におけるしわ外観の経時的変化をカラースキャナを通して取り込んだ。これらの布表面の画像はグレイレベル画像に変換され、画像情報量として一次統計量(MIU)、角二次モーメント(ASM)、コントラスト(CON)、相関(COR)、エントロピー(ENT)およびフラクタル次元(D)が算出された。
結果 画像情報量はいずれのパラメータも多かれ少なかれ時間の経過とともに変化するので、時間ゼロに対する時間tの相対比を求め、経時変化を検討した。布は自然乾燥により、乾燥過程で布表面に不均一な外観が形成されることが、画像解析から求められるパラメータにより評価することができた。これは、布が湿った状態では塑性変形を引き起こし、しわ回復性が悪くなり、さらに布が乾燥していく過程において糸や繊維内に吸収されていた水分が蒸発していく時に、糸のクリンプが変化するためにしわが増大すると考えられる。

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© 2011 一般社団法人 日本家政学会
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