一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-47
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5月28日
早生樹材による染色
-アカシアマンギュウム樹皮の利用-
*村田 裕子古濱 裕樹村田 功二
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抄録

目的 世界の森林は毎年1300万haが姿を消していが、その減少速度は1990年代に比べるとやや遅くなっている。これは大規模な造林や森林の自然増加によるものである。これら荒廃地の造林や再植林で注目されるものに早生樹産業植林があり、ユーカリをはじめとする何種類かの早生樹が世界中で広く植林されている。アカシアマンギュウム(Acacia mangium)もその一つで、東南アジアを中心に植林が進められている。この樹木の植林・加工によって、現地に貴重な現金収入がもたらされている。本研究は、アカシアマンギュウムの加工残渣である樹皮を利用し、染色への可能性を検討した。
方法 アカシアマンギュウム樹皮粉はコシイウッドソリューションより提供を受けた。煮出しによる綿布への染色を試み、Al媒染とFe媒染によって発色性を確認した。さらにエコファッションというテーマで服飾への応用を試みた。
結果 染色の結果、Al媒染とFe媒染で十分な発色性が確認された。SCI 値の測色結果は、Al媒染ではL*=62.8、a*=8.3、b*=17.9、Fe媒染ではL*=44.1、a*=5.1、b*=12.4であった。染色布を利用して衣服を試作した。色合いやエコロジーとしてのメッセージ性などで興味深い作品を作ることができた。コシイウッドソリューションより提供された資料によれば、樹皮には約30%のタンニンが含まれ、ポリプロピレンと混練りした木質材料では高い抗菌性が確認されている。高濃度のタンニンにより堅牢性を高めることができ、さらに銅イオンを共存させることにより高機能性(抗菌性)の付与が期待できる。

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