一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3P-13
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5月29日
佐賀市における学校環境と児童の自覚症状との関係について(第2報)
*石崎 妃呂美甲斐 今日子市場 正良
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抄録

【目的】
 近年、シックハウス症候群やシックスクール症候群など、室内環境が及ぼす健康影響が問題となっており、その一つの要因である学校環境についても改善が求められている。そこで、佐賀市における学校環境と児童の自覚症状との関係について明確にすることを目的とし、問診表による児童の自覚症状調査と市内小学校の教室内空気中のシックハウス関連物質の測定を行った。

【方法】】
 佐賀市内37小学校において、自記式のアレルギー症状及びシックハウス症状等に関する問診票を配布し(2009年1月)、保護者による記入後、回収した(2525回収、回収率81%)。集計及び統計的検定には、統計解析ツールを用いた。なお、問診表の分析については全小学校で回答が得られた6年生(1951)を対象とする。また、教室内空気測定は2009年8月及び2010年8月に、教室内(各学校2室)にアルデヒド類及びVOC類用の拡散式サンプラーを設置し、24時間の空気採取を行った。サンプラーを回収し、溶媒抽出後、アルデヒド類をHPLC、VOC類をGC-MSで分析した。

【結果】
 問診表調査から、アレルギー罹患経験がある児童は48.5%であり、アレルギー罹患経験がある児童は罹患経験のない児童に比べ、シックハウス症状を有意に発症していた。
 2009年の教室内空気測定の結果、測定を行った全ての教室でシックハウス関連物質が検出され、ほとんどの教室では文科省指針値を下回るが、ホルムアルデヒドが測定70室のうち24室で、アセトアルデヒドが3室で、TVOCが1室で指針値を超えて検出された。アセトアルデヒドが指針値以上の3室は、ホルムアルデヒドも指針値以上であり、その3室のある学校に通う児童は他の学校に通う児童に比べ、アレルギー症状やシックハウス症状を発症しやすい傾向が見られた。

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