一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2P-20
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ポスターセッション 5月12日
頼(らい)家『時祭供物献立』における到来食品の内容とその特徴
*大久保 恵子小竹 佐知子
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抄録

目的:江戸時代後期の広島藩儒頼春水(らい しゅんすい、1746~1816、延享3~文化13)が中心となって残した時祭(2月春饗および8月秋饗)供物献立に用いられた到来食品の内容とその特徴を、前報(日本家政学会第60回大会)に引き続き調査分析した。資料:春饗供物献立35枚、秋饗供物献立38枚、および定季ではない特殊祭礼の供物献立10枚を調査対象とした。全資料の献立末尾に記載されていた到来の食材および製品の種類および品数を調査した。結果:到来食品は春饗において全部で100種の230品、秋饗において70種の184品、特殊祭礼において18種の19品が認められた。全使用食品数に対する到来食品の割合、すなわち、到来食品使用率は春饗で30.7%、秋饗で24.7%、特殊祭礼で10.4%であった。春饗では魚介・水産加工品が33.9%と最も多く、次いで、菓子20.4%および野菜・芋が16.1%と続き、茸および果実は少なかった。秋饗で最も多くの割合を占めたのは、菓子の21.7%であり、次いで魚介・水産加工品が15.2%となり、旬である柿および松茸を多く含む果実および茸の割合が春饗に比べて多かった。献立の各項目(汁、飯、香物、膾・猪口、平、向詰、酒、取肴、菓子、茶)における、到来食品の占める割合が最も高かったのは、両饗とも菓子であった。春饗では次いで酒、茶での割合が高く、秋饗においても茶における到来品の割合が高かった。これらはいずれも入手後に調理する食材料ではなく、加工製造された食製品であった。食製品は、生鮮食材に比べて日持ちするので、前もって送り届けたり、または送付されたものを祭日まで保存しておくことが可能であったと考えられる。

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