一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2P-35
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ポスターセッション 5月12日
洗濯条件が衣類のしわ発生におよぼす影響
三ツ井 紀子*長嶋 直子高岸 徹
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キーワード: しわ, 洗濯条件, 洗濯機
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抄録

【目的】衣服の着用において、しわの発生は美的感覚から望ましくない。しわは洗濯後に生じる洗濯しわと、着用後に生じる着用しわに類別することができるが、両者ともしわ発生後のアイロンがけは多量の熱的エネルギー消費はもとより、家事労働における負担が大きいと感じる人が多いことが報告されている。しかしながら、しわの発生の要因は明らかとされていない。しわ発生の要因が明らかにされれば、消費および排出エネルギーを抑えたこれからの被服管理への提案が可能になるものと思われる。そこで、洗濯しわが生じる要因、すなわち、脱水、乾燥を含む洗濯過程における種々の条件が衣類のしわ発生におよぼす影響について検討することを目的とした。
【方法】試料として各種組成、組織の異なる綿布およびポリエステル布、計6種類を用いた。洗濯機としては洗浄方式の異なる2種の洗濯機すなわち渦巻き式およびドラム式洗濯機を使用し、種々の洗濯条件(洗剤濃度、温度、浴比、洗浄時間)、および脱水時間を変化させて洗濯を行い、さらに乾燥条件についても検討した。しわの評価判定には5段階のしわ見本を作成し、肉眼で判定、評価し、条件別に有意差検定を行った。
【結果】しわの発生におよぼす洗濯時の洗剤濃度および温度の影響は、渦巻き式およびドラム式洗濯機の機種間における差はみられなかった。一方、いずれの洗濯機においても浴比が小さくなるにつれて、また洗濯時間が長くなるとしわが発生しやすくなることがわかった。綿金巾、綿ブロードはしわになりやすいが、シルケット加工を施した方がしわは発生しにくく、T/C混ニットはとくにしわになりにくいなど試料間に大きな差が見られた。また、試料の物理的性能(厚さ、剛軟性、防しわ性)との関係についても考察した。

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© 2012 一般社団法人 日本家政学会
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