一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2P-40
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ポスターセッション 5月12日
和服着用における着くずれについて
*永島 優香阿部 栄子
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抄録


目的;絹縮緬地を用いたあわせ長着の着装は、きものそのものが身体よりも大きく、また、布地が柔らかく、多くの着装工程もあり、着装初心者にとっては技術の習得は難しいとされる。本研究では、和服着装の上で最も「要」とされる「腰紐」に注目し、その扱い方、結び方等における問題点を見出そうとした。
方法;着用実験に先立ち、着装専門書の検討、および着装専門家からの聞き取り調査などを整理した。その後、柔軟で変形しやすい絹縮緬地を用いたあわせ長着を製作し、着用実験を行った。和服着用において最初に結ぶ「腰紐」に注目した本着用実験の結果から、着くずれを初めとした「腰紐」の問題点について考察した。和服の着用者は、20歳代の健康な標準体型の女性である。着装は、背縫い線を背骨に合わせ、左脇縫い線は大腿骨に合わせた外出着としての一般的な着装を行った。各長着着用時とも、それぞれの長着の着装誤差をできるだけ少なくするため、きものの頸窩点における左右衿山の打ち合わせ、両脇でとる襞の位置、すそ線の位置、腰紐の合わせ目には合い印を付けた。なお、着装は、全て経験約30年の専門家(着付けコンサルタント)に依頼した。
結果;本研究では、和服着用における着くずれについて、「腰紐」に注目し、着用実験の結果から検討した。その結果は、次のようにまとめられる。
①着くずれは、「腰紐」に起因する場合が殊のほか多い。②腰紐をしめる準備として、きものの打ち合わせ段階からタテ布目の流れに注目する必要がある。③腰紐は、少なくとも左右どちらかの腸骨の上部を通る位置で結ぶと良い。④背面後部では、第4腰椎を通るように結ぶと、腰紐は後ろ上がりとなり、裾線はくずれにくい。⑤上前衿先が身体の真横で整えられ、腰紐で押さえられていると、上前の衿下がずれにくい。

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