一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2P-49
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ポスターセッション 5月12日
小学校家庭科「衣服の着方」に関する授業開発
活動に合わせた着方を理解させるための実験教材
*渡部 友紀子篠原 陽子
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抄録

【目的】「衣服には働きがあり、活動に合った衣服を着用することで、身体の動きを妨げることなく活動が行えるようになる」ことを、児童が実験で明らかにしていく授業の開発をめざし、実験教材を作成した。基礎実験として、衣服の吸水性、吸湿性、透湿性、通気性、乾燥性、伸縮性を調べた。
【方法】吸水性はバイレック法、吸湿性・透湿性は蒸発法、通気性はフラジール形法、伸縮性は定荷重法の簡易法、乾燥性は乾燥性試験法によった。試料布は関西衣生活、中尾フィルター製の綿100%(ニット、ブロード60番)、ポリエステル100%(モスリン、タフタ)を用いた。加えて競技用ランニングシャツ(ポリエステル100%ニット、アシックス)、学童用体操服(上衣:ポリエステル70%綿30% ・下衣:ポリエステル90%綿10%ニット、SCHOOL UNI)を用いた。布の厚さ、平面重、糸密度、充填率も調べた。
【結果】吸水性は、親水性繊維の編物が最も大きく、最大吸湿量は、綿ニット、ブロードが大きかった。綿は湿度によって吸湿量が変化した。透湿性は、ポリエステルモスリン、ランニングシャツの透湿率が70~84%、綿ニット、ブロードは50~67%であった。体操服は吸湿性・透湿性ともに優れていた。通気性は、綿ブロードとポリエステルタフタが低く、ランニングシャツや体操服上衣は高かった。乾燥性は、乾燥所要時間がポリエステルタフタ5分、ランニングシャツ10分で速乾性が認められたが、綿ブロードは50分、綿ニット70分と長時間要した。伸縮性は、織物よりも編物が高く、特にランニングシャツ、体操服は約20%の伸長率、95%以上の伸長回復率を示した。これらの実験結果より科学的概念を抽出し、小学生の発達段階に合わせて教育内容を整理し、6年生の授業を開発する。

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