目的 戦後農村の福島県における生活改善普及事業の内容を衣・食・住・生活経営分野に区分し、その中から生活経営分野に焦点を当て、当時の資料から具体的な生活改善内容・方法を知ることを目的とした。方法 福島県内の農業普及所に残されていたスライド資料および台本を中心とした資料調査を実施した後、元生活改良普及員・現在普及指導員として農村環境分野で働いている方々への聞取り調査を実施した。結果 福島県内でも全国と連動して生活改善普及事業が進められたが、生活経営分野では、生活改善グループ育成(昭和27年~28年)に始まり、季節保育所の開設、家族の民主化(家族会議の推進)、自給野菜の計画的作付(家計簿の記帳)、電気製品導入による家事労働の軽減等の目標を掲げ活動した。スライドは具体的で理解しやすい内容であり、生活改良普及員が上から押し付けるのではなく、生活課題を自分達の力で解決するために生活改善グループを育成し共に学び合うという姿勢に貫かれていた。