一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
66回大会(2014年)
セッションID: 2P-28
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ポスターセッション 5月24日
アワビの肝を用いた魚醤の香気特性とその加熱による変化
*菅原 悦子
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キーワード: 魚醤油, 香気成分, 加熱処理
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抄録

目的 近年、醸造技術の進歩によってアワビ加工時の廃棄物である肝を用いた魚醤が開発されたが、原料の肝がもつ特徴香気が品質に大きく影響している。そこで、本研究ではアワビ肝醤油の香気成分組成の解析を第一の目的とした。さらに、その加熱殺菌等の加熱条件による香気成分組成の変化を解明し、風味向上の方法の探索を第二の目的とした。 方法 試醸したアワビ肝醤油と3種類のしょっつるなど市販魚醤から、SPME法(Solid Phase Micro Extraction)によりヘッドスペース成分を抽出し、AEDA( aroma extract dilution analysis)法により各香気成分のにおい特徴と香気寄与度を評価した。さらに、加熱前後のアワビ肝醤油も同様に分析した。また、香気成分はGC-MSにより同定した。結果 GC-O分析により、アワビ肝醤油から感知できたにおいの数は60種で、3種の市販魚醤より約2倍で多かった。AEDA分析により、アワビ肝醤油から汗様の3-methylbutanoic acid、煮たジャガイモ様のmethionalと香ばしくカラメル様の2-furanmethanolなど8種のFD-factor(FDf)の高い香気成分を検出した。しょっつるからは3-methylbutanoic acidとmethionalに加え、青葉様の1-hexanolや汗様の3-methyl-1-butanolなど6種のFDfの高い成分を同定した。アワビ醤油はにおいが強いと考えられる。また。加熱によって、アワビ肝醤油の甘い花様の2-phenylethanolなどの寄与度が低下した。加熱条件はアワビ醤油のにおいに大きく影響しており、今後、アワビ醤油の風味を向上させる加熱条件を検討する計画である。

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