目的 岐阜県では各務原市を中心ににんじんが栽培されており,市の特産品の一つにもなっている.しかしながら,各務原市産にんじんに関する成分や特性についての報告は少なく,未解明な部分が多い.そこで,各務原市産にんじんの基礎データを得ることを目的とした.今回,にんじんに含まれる成分の一つであるアスコルビナーゼに着目し,各務原市産にんじんと他の産地とのアスコルビナーゼ活性の測定を行い,品質特性の一つとして検討したので報告する.
方法 試料は各務原市産にんじんを用い,比較対象として,北海道産,青森県産を実験に供し,インドフェノール法にてアスコルビナーゼ活性を測定した.なお,アスコルビナーゼ活性については,アスコルビン酸残存率として求め,一元配置分散分析(ANOVA)および多重比較(Dunnett)にて検定を行った.
結果 各試料のアスコルビン酸残存率を求めたところ,各務原市産:49.8% ,北海道産: 56.0% ,青森県産:45.7% であった.北海道産と青森県産との間に有意差が見られたが,各務原市産にんじんは北海道産,青森産との間に有意差は見られなかった.今回,各務原市産にんじんと他の産地との間に差は見られなかったが,アスコルビナーゼには,ビタミンC分解を促進する働きがあることが知られていることから,調理操作に対する影響について把握する上で,品質特性の評価の一つになることが推察された.