一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
66回大会(2014年)
セッションID: 2P-46
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ポスターセッション 5月24日
型紙のデジタル化処理 その16
仙台浴衣と仙台手拭について
*川又 勝子佐々木 栄一
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キーワード: 型染め, 型紙, 電子化, 浴衣, 手拭
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抄録

目的 仙台地方における大正期から昭和50年代にかけての注染染物は、商店や会社などの得意先への贈答品などの商業用の浴衣や手拭が多数生産されていたことがこれまでの調査より明らかになっている。本報告では型紙保存箱約10個のうちの第4番より新たに50枚の注染用型紙と注染関連資料(商品目録帖)の調査結果を報告する。
方法 注染用型紙については、型紙の状態・文様等の調査、CCDセンサー・イメージスキャナによる型紙文様の電子化を行い、これまでのデータと比較した。さらに、このデータを活用して作成した型紙を用いて直接染料による染色を試みた。また、当時の浴衣・手拭意匠の参考にされていた商品目録帖『みやぎの』(名取屋染工場刊)についても調査と電子保存を試みた。
結果 破損・欠損箇所のある型紙は50枚中19枚で、破損・欠損率は38%となり第3型入れ箱までの傾向と比較するとやや少なく、軽度の破損がほとんどであった。柄行については、名入れの浴衣型紙が多数(88%)を占め、名入れ手拭と趣味の浴衣は僅かであった。また、幾何文が多数(80%)みられた。スキャニング画像は汎用画像処理ソフトで破損・欠損箇所の修復とゆがみ除去を行った。さらに、電子データを活用した型紙を用いて染見本を作成(直接染料の引き染め)したところ、当時の中形染の文様を再現でき、大学での染色教育に生かすこともできた。なお本研究は、MEXT科研費21700720、JSPS科研費24700780の助成を受けて行った。

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