一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
66回大会(2014年)
セッションID: 2P-58
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ポスターセッション 5月24日
中世海上交易品に見る色材
アジア海域を取り巻く国々
*難波 めぐみ
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キーワード: 色材, アジア海域, 交易品
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抄録

目的 14世紀中頃「宝の島」と呼ばれていた琉球(現:沖縄)は,明帝国(現:中国)との冊封体制の中で,日本本土を始め,周辺諸国,安南(ベトナム)やジャワ(インドネシア)より遙かに,渡航頻度が高かったことを知ることが出来る.何故「宝の島」と呼ばれ,当時世界屈指の海外貿易港への入港を許されたのか.中世におけるアジア海域を取り巻く国々の交易から,当時の交易品を調査し,日本への色材ルートの一端を明らかとすることを目的とした.
方法 琉球王国の外交文書を記録した漢文史料『歴代宝案』,日本国と琉球国について記述した漢文書籍『海東諸国記』などから,中世アジア海域を取り巻く国々の交易品特に色材を考察した.
結果 1372年チンギス・ハーンの侵略から,中国を天下再興へと導いた洪武帝の台頭によって,琉球を取り巻く環境が激変した.当時,最も盛んであった泉州は,シルクロードを旅したマルコ・ポーロの『東方見聞録』に,世界屈指の海外貿易港と記される程であった.当時この泉州の入港を許された唯一の国が琉球であった.資源を多く持たない琉球にとって,アジア海域を取り巻く国々への渡航は,明帝国への進貢の品々を準備するために重要な海上交易で,シャム(現:タイ)では,胡椒や蘇木等が大量に買い付けされていたことが見える.中世における色材の流入は,アジア海域を自由に渡航が許された琉球の存在が大きかったといえる.

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