一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
セッションID: 2P-38
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ポスター発表 5月23日 被服
ベトナム中部ホイアンの伝統的衣服に関する研究
*下村 久美子谷井 淑子猪又 美栄子Phan Hai Linh
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抄録



目的 日常的に着用されてきたベトナムの伝統的衣服は時代とともに変化し、失われつつある。伝統的衣服の種類や着用実態の把握と形の変化を解明することを目的として、ベトナムの北部、中部、南部の農村にて調査を行なってきた。本研究では、商業地区ホイアンで調査を行い、伝統的衣服の形や縫製の変化について考察した。

方法 ホイアン遺跡管理センターの協力を得て、平成26年9月に伝統的衣服の仕立屋をしていた高齢者(5名)と衣生活に詳しい高齢者(7名)を訪問し、伝統的衣服の色、素材、形や着用経験に関する聞き取りと写真およびビデオ撮影を行なった。

結果 (1)古いタイプの伝統的衣服について、裁断方法や縫製手順を詳細に記録することができた。これまでの調査結果と合わせて、布幅は時代の経過と共に広くなり、それに伴い裁断方法等が変わったことを確認できた。(2)伝統的な腰丈の上衣のアオ・ババは、現在も農村では高齢女性が日常的に着用している。以前は、外出用と労働用では素材やスリットの有無などの縫製方法が異なっていた。(3)女性用のアオ・ババの衿ぐりの形と袖の形式は、1950年代半ば頃から変化が見られた。(4)女性用のアオ・ザイはかつては裁ち出し袖であったが、1960年代にラグランスリーブに変化し、それに伴って胸ダーツとウエストダーツが加わり、身幅が狭くなり、現在の形式になった。  本研究は平成26年度科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号26350080)の交付を受けて実施した。

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