[目的] 青年期にある大学生は、精神的にも社会的にも自立する時期にあたりストレスがたまりやすい時期でもある。本研究では大学生の身体的、精神的な健康状態を把握するとともに、生活習慣、特に飲酒に関する実態を調査し、健康づくりのための一助とすることを目的とした。
[方法] G県大学の3年生を対象に調査を実施した。疫学の指針に従い調査の主旨を対象者に説明し、同意の得られた学生に調査票を配布し回収した。統計学的分析は、マイクロソフト社のExcelあるいは汎用統計解析ソフトSPSSを用いて行った。
[結果] 飲酒状況について、日常的ではないにしろ多くの学生が飲酒していることが示された。飲酒の動機については、多い順に「気分転換」、「飲みたいから」、「付き合い」であった。ストレスの解消法として「飲酒」を選択(複数回答)したものは全体の約10%だったが、飲酒によりストレスが解消できたものは、このうち21%であった。飲酒頻度に関する調査結果からは常習飲酒者は一人もいないことが明らかとなったが、大規模調査における同年代の調査結果と比較して、本調査対象者は、より官能的要因が深く関わる日本酒やウイスキーを好んで飲んでいることがわかった。これらはアルコール度数が高く独特の味わいもあるため、青年期からの飲酒は健康問題へつながる可能性も否定できない。飲酒による健康被害の実態について、早い段階から教育する必要があることが示唆された。