一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
セッションID: 3B-7
会議情報

口頭発表 5月24日 住居
大学学生寮における夏期の住環境の実態
*飯野  由香利
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的   狭く冷房設備がなく腰窓と扉のみがある学生寮の居室における夏期の暑熱環境の実態や防暑対策及び問題を把握し、防暑方法を提案する。
方法   N大学のRC造4階建の男女別の学生寮の空き室、居住室、廊下、脱衣室の温湿度を2014年7~8月に計測し、測定期間中2回、これらの空間の表面温度、風速、照度を測定した。9月の3日間に防暑方法の検証測定を行った。一方、寮生に居住環境に関する温冷感等の評価、防暑対策及び不眠や熱中症の実態に関するアンケート調査を行った。
結論  女子寮の住環境が以下の知見により男子寮より問題であることを明らかにした。
1)女子寮の居室では、4階の平均室温が30℃以上で、1階の平均湿度が70%以上である。その要因として天井焼けこみと平均風速が0.1~0.5m/sと小さいこと、防犯上1階の廊下への出入り口が閉められがちであること等が挙げられた。
2)寮生は寮内で自室が最も暑いと感じている。暑さの要因として66%以上の人が主に風通しが悪いことを挙げた。対策として80%以上の人が窓扉の開放や扇風機の使用を挙げた。また、不眠の要因として暑熱環境を98%の人が挙げており、4階での不眠が顕著であった。回答者の18%が熱中症になったことがあり頭痛を訴えていた。
3)検証実験の結果、扉に布を吊るし、扉面積の下部半分と窓を開放した時の室中央での風速は、窓付近の風速の約65%(1.2m/s)を確保でき、最も採風効果があった。

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top