主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第68回大会
回次: 68
開催地: 金城学院大学
開催日: 2016/05/27 - 2016/05/29
目的 レクチンは動植物界に広く分布しているタンパク質である。その機能のみならず、多量に摂取した場合の生体へのネガティブな影響と、少量摂取した場合のポジティブな影響が明らかになっている。一般にレクチンは生の試料から抽出され精製されているが、食用とする状態、つまり加熱後のレクチンの状態については不明な場合が多い。そこで、加熱した食品に含有されるレクチンの体内での免疫活性の測定のための基礎資料の作成を目的として、ボイルした食品からレクチンを精製し、生のレクチンとの比較を試みた。方法 無加熱の金時マメ、サトイモ、ブロッコリー、さらに、ボイルした状態のこれらの試料からカラムクロマトグラフィーによりマウス赤血球での赤血球凝集活性を指標にしてレクチンを精製した。 結果 金時マメとサトイモの試料においては、生と加熱した状態では精製にあたってカラム樹脂の種類が異なった。また電気泳動によるバンドの位置から推定して、生とは異種のタンパク質に変性している可能性が推測された。また、ボイルする時間によりタンパク質の溶出曲線が変化し、調理条件のわずかな違いによりタンパク質が異なった熱変性を起こし、同時にタンパク質であるレクチンも熱変性していった可能性が示唆された。ブロッコリーレクチンについては、生ではマウス血球で全く活性が検出されない結果であったが、加熱によりH活性を示し、その分子量は200万付近の高分子になっていた。本研究はJSPS KAKENHI 15K00805の補助を得て行った。