一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: P-046
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ポスター発表 5月28・29日 食物
大学における調理実習が知識、調理スキルおよびコミュニケーションに及ぼす効果
*松島 悦子
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抄録

【研究目的】 食の外部化が進行し、調理を学ぶ場として学校での調理実習の重要性が増している。本研究では、大学での調理実習が学生の知識と調理技術、コミュニケーションにどのように影響を与えるかを明らかにすることを目的とした。
【方法】 A大学の平成27年度基礎調理学実習Ⅱの授業で、受講者57名を対象者として、調理学の知識と技術、実習に対する意識などについて、履修前後に質問紙調査を行い比較分析した。実習中の各班の様子を非参与観察法により観察記録し、学生には、毎授業後に振り返りシートの記述を課した。
【結果と考察】 調理学知識に関しては、炊飯の仕方や、野菜やイモの茹で方、味噌汁の食塩濃度、包丁による切り方の名称の正解率が、事後で有意に高まった。これらは実習で行っており、自らの体験が知識の定着につながったと考えられる。調理技術では、「コンロを使う自信がある」という意識は事後で高まったが、「包丁を使う自信」については有意な変化はみられなかった。普段家で調理をするという学生は少なく、調理技術の向上には、授業以外でも練習を積むことが必要だろう。コミュニケーションについては、班のメンバーに「考えをわかってもらえるように話す」「貢献する努力をする」という意識は高まり、逆にコミュニケーションは苦手という意識は著しく軽減された。観察記録にも、メンバー間でアドバイスをし合う様子が多く記述されており、協同作業を通じてコミュニケーションが促進されたためと推察される。

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