主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
目的 日本の後発酵茶には,伝統的に継承されて作られてきた富山県の黒茶,徳島県の阿波晩茶,高知県の碁石茶,愛媛県の石鎚黒茶の4種類が存在している.後発酵茶は,地域性もあり,製造方法が複雑なことに加えて,食生活の変化などにより生産量も減少して,一地方の茶として知られる程度となっている.そこで,本研究では,国内産の後発酵茶のイメージ,嗜好性,風味の特徴などについての実態調査を行うと同時に,日本における後発酵茶の存続について検討することを目的とした.
方法 2016年8月に3種の国内産の後発酵茶(富山県の黒茶,徳島県の阿波晩茶,高知県の碁石茶)の嗜好調査を10~60歳代の健康な男女40名に実施した.茶葉の外観,浸出液(5℃)の水色,香り,味などについて5段階で評価してもらった.同時に,後発酵茶の味の特徴の1つでもある酸味について,酸味のある食品の嗜好を質問することで調査した.
結果 3種の後発酵茶を試飲してもらったところ,若年層には受け入れにくいが,年齢層が高くなるにつれて比較的受け入れやすいということが明らかとなった.また,富山の黒茶は,「くせがある」「飲みづらい」という意見が多かった.阿波晩茶は,「酸味がある」という意見が多く,他に「冷やして夏に飲むとすっきりとしておいしそう」「疲れを取りたい時に飲みたくなる」という意見もあった.碁石茶は,「飲みやすい」という意見が多かった.これらのことから,国内産の後発酵茶の一般的な味の特徴をつかむことができた.さらに,酸味のある食品の好みについては,どの年代においてもかんきつ類の酸味が好みだということが分かった.