主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
目的 グリーンナッツオイル(GNO)はα-リノレン酸と,抗酸化力の強いγ-トコフェロール(以下toc)を豊富に含んでおり,認知症予防効果が期待される。そこで,老化促進モデルマウス(SAM)のうち,学習・記憶障害を発現するSAMP8と対照のSAMR1を用い検討した。
方法 実験には,SAMP8(P群)と,SAMR1(R群)の4週齢および16週齢の雄マウスを用いた。1週間の予備飼育後,各マウスをGNO(GNO群)・カノーラオイル(CAO群)・コーンオイル投与群(CO群)に分け,AIN-93G(大豆油抜き)に各オイルを7%添加した飼料を与え,各々82日間飼育した。また,本飼育開始時と解剖前にY字迷路試験を行った。屠殺したマウスの脳,肝臓,心臓,腎臓,筋肉,白色脂肪,褐色脂肪からtocを抽出後HPLCで分析した。また,同様に,脳と肝臓から脂肪酸を抽出し,ガスクロマトグラフにより分析した。
結果 Y字迷路試験における交替行動率から,4~16週齢の間はGNO群ではP,R群ともにわずかに高い値を示し,CO群は,R群でほぼ変化がなく,P群では値の低下が見られた。CAO群はP,R群ともに週齢が進むにつれて大きく低下した。16週齢のマウスでは30週齢に向けてP,R群ともに,いずれも値は低下し、認知能力の低下が示唆された。一方,GNO摂取により生体内のγ-toc量は増加した。各器官におけるDHA量は,CO群よりもGNO群の方が高値であり,アラキドン酸量はCO群の方が高い値を示した。以上のことから,GNOは認知機能低下の抑制等に有効である可能性が認められた。