目的 豆は長期間貯蔵することで煮ても軟らかくなりにくくなることが知られている。このような豆を粉砕した際の調理性を明らかにするため、貯蔵期間の異なる豆を粉末にし、起泡性と乳化性を測定した。
方法 37℃、相対湿度75%で45、90日間貯蔵した大豆及び金時豆を粉砕し、粒度分布(レーザー回折式粒度分布測定装置)を測定した。比較として4℃80%で貯蔵した豆をコントロール豆として用いた。乳化性は、水:サラダ油=1:1に3.3%の試料を加え、攪拌後の分離量を経時的に測定し、乳化力(乳化層容積/全容積)とした。起泡性は、イオン交換水に対し試料を4%加え、攪拌(7000rpm、2分間)し、泡沫容積の経時変化を測定した。
結果 乳化力は豆の種類及び貯蔵条件によらずいずれの試料も調製直後は100%であり、180分後の乳化力は大豆では貯蔵豆が、金時豆ではコントロール豆が高く、豆の種類によって豆粉の乳化安定性への貯蔵の影響が異なった。90日貯蔵の豆粉の攪拌直後の泡沫容積は、大豆がコントロールの1.1倍、金時豆がコントロールの1.3倍であり、180分後も貯蔵豆の方が高かった。豆粉のメジアン径は大豆のコントロールが51μm、45、90日貯蔵豆でいずれも33μmであり、金時豆は貯蔵条件によらず約50μmであった。これらのことから、貯蔵前後で両豆粉の調理性に違いが見られたことには粒度やタンパク質の成分変化などが複雑に関与することが示唆された。