主催: (一社)日本家政学会
会議名: 70回大会(2018)
回次: 70
開催地: 日本女子大学(東京)
開催日: 2018/05/25 - 2018/05/27
【目的】北海道新十津川町は北海道内での酒米生産割合が概ね50%である。酒造において酒質を高めるために酒米はその外層の多くを研削され、少なくとも70%、時には50%を下回る精米歩留まりで酒造用精米が行われる。発生する白糠は、米粉の一つであり、この有効利用方法をここでは報告する。
【方法】新十津川町産酒米である「吟風」の酒米研削時に発生した米粉を用いた。Megazyme社の測定キットを用い、アミロース含量を測定した。損傷澱粉率はMegazyme社の測定キットおよび0.25M塩酸を用いた方法でそれぞれ求めた。米粉の粒度は粒度分布計(Beckman Coulter LS13320)を用いた。SEMによる米粉外観観察を行った。米粉の発酵能力については試薬αアミラーゼあるいは市販米麹を用いて、発生した糖あるいはアミノ酸量を定量することで評価を行った。米麹発酵物をパン材料に添加し、製パンを行った。得られたパンは比容積を測定した。
【結果】「吟風」のアミロース含量は27%程度であった。飯用米としては高い値であるが、酒米としては一般的である。損傷澱粉値は40%程度(酸溶解法)の非常に高い値を示した。SEMによる外観観察でも米デンプンに特有の角ばった構造が失われており、大きな変化を受けている。糖化能力は一般的なうるち米に比べて高かったが、アミノ酸発生量は同等であった。発酵物を添加したパンは良く膨らんだ。